こんにちは!ウイルネス代表の福田一史です。

前々回の「人材育成を「パフォーマンスピラミッド」で考える(前編)」の続きです。
そもそも「パフォーマンスピラミッド」ってなに?という方は、前編からお読みください!
リンク:人材育成を「パフォーマンスピラミッド」で考える(前編)

スポーツにおいてもビジネスにおいても、「パフォーマンスピラミッド」の状態は大きく3つのタイプに分けることが出来ます。そして、そのタイプによって、起こりやすい課題やトレーニングの方向性が異なってきます。

今回は、この「パフォーマンスピラミッドの3タイプ」をご紹介します。

アンダースキル型「成果の出ない意識高い系」

1つ目は「アンダースキル型」。
共通スキルは低くないものの、専門スキルが低く成果が出ないタイプです。

一言で例えると「成果の出ない意識高い系」でしょうか。
自己啓発本やビジネス書などは読み漁っているものの、仕事の成果にいまいち結びつきません。

スポーツで言うと「トレーニングオタクの二軍選手」のイメージ。最新トレーニング理論などは良く知っていてジムワークは出来ているが、競技力自体が足りないタイプ。

このタイプに必要なことは「仕事しろ」です。

業界・企業・職種に特有の専門スキルを身につける必要があり、これらは実際の仕事を通じて獲得しないといけないスキルです。専門的な知識のインプットはしながら、先輩・上司などによるOJT・メンタリング・コーチングを通じて、専門スキルを高めていくといった介入が効果を出しそうです。

また、これまでとは全く異なる業界に転職をした直後なども、アンダースキル型の状態が起きやすくなります。

この場合は、業務特有のスキルをキャッチアップできればパフォーマンスは上がるようになります。新しい環境からも「素早い学習とキャッチアップ」が出来る人については、あまり心配はいらないでしょう。

ただ、「全く別の環境に飛び込んでキャッチアップする」という経験がこれまでにない人の場合、受け入れ側でサポートが必要になって来ます。

アンダーパワー型「地頭のいい新卒」

2つ目のタイプが「アンダーパワー型」。
「量」の共通スキル、仕事のスピード・量をさばく能力などの「パワー」が足りない状態ですね。

一言で例えると「地頭のいい新卒」
ポテンシャルはあるものの、仕事をバリバリこなすことはまだ出来ません。

スポーツで言うと「高卒ルーキー選手」。ポテンシャルはあるけれど、フィジカルの強さが単純に足りないタイプ。

アンダーパワー型は、ある意味「誰しも通る道」です。

基礎的なビジネススキルを、着実に身につけていくことで解決していきます。ビジネスで必要とされる「基本フォーム」をインプット・実践・改善・習得していくプロセスが必要ですね。

この段階では「出来ない」のは当たり前。
「出来ない」という結果にフォーカスし過ぎず、基本フォームから崩れている点に気づいて修正していくことが大切です。

ただ、それを自分だけで気づくことはなかなか難しいので、適切にフィードバックが出来るメンター/トレーナーの存在が重要になります。

オーバーパワー型「体育会系の敏腕営業マン」

最後のタイプが「オーバーパワー型」。

一言で例えると「体育会系の敏腕営業マン」です。
「量」の共通スキルに対して、思考の柔軟性やコミュニケーション、ストレスコントロールといった「質」の共通スキルに低い部分があります。

実はこのタイプ、基本的にパフォーマンスが高いです。
「別にパフォーマンスが高いなら問題ないのでは?」と思いがちですが、そうとも言えません。

このタイプは、スポーツで言うと「怪我の多い一流選手」。元プロ野球の清原選手のようなイメージですね。パワーも競技力もある一流選手ですが、自分のパワーをコントロールしきれず怪我がちでパフォーマンスが安定しない。

仕事における「オーバーパワー型」も同じく、バリバリ仕事が出来て結果も出しますが、異動や昇進などの環境変化に対して適応できないと問題が表面化してきます。

「症状」として表面化する形はケースバイケースですが、例えば部下に対するハラスメントや自身のメンタル不調などが、よくあるケースです。

「オーバーパワー型」はパフォーマンスが高いだけに、問題が表面化するまで課題の存在自体に気づくことが難しい。更に実際に問題が起きていても、それまで成果を出してきた「成功体験」があるため、周囲も本人も「オーバーパワー型」の状態に気づかないことが多くあります。そのため、表面化した問題にのみ個別に対処してしまう。

でも、表面化した問題はあくまで「症状」であって、根本的には「質」の共通スキルが低いという原因をなんとかしないと解決しません。

「質」の共通スキルは、スキルである以上高めることが出来ます。ただし「量」の共通スキル以上に、自分だけでは気づき・学ぶというプロセスに困難が伴います。

弱みや失敗を自己開示できる心理的な安全性、適切なフィードバック、といった周囲の環境・関係性が不可欠です。

もし職場でそうした環境を望むことが難しければ、個人コーチによるコーチングを受けるといった手段も有効です。

全体像の把握して、優先順位をつけることが大事

今回ご紹介したタイプ分けは、パフォーマンスに影響を及ぼす課題の全体像を掴み、ざっくりしたスクリーニングをするのに、大変便利で有効な考え方だと思います。

それによって、個々の課題に対症療法をするのではなく、全体像を把握して優先順位付けが出来ることが大きいですね。もちろん、このタイプ分けだけでは不十分なので、スクリーニング後により詳細なアセスメントが必要です。

「木を見て森を見ず/森を見て木を見ず」、どちらにもならないことが大切ですね。

さて、今回はここまで。ちょっとボリュームが多くなりすぎました…。
それでは、またぜひお読みください!

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こんにちは。ウイルネス代表の福田です。

前回のブログは、「人材育成とフィットネスは同じ」というお話でした。
リンク:元パーソナルトレーナーの福田が、人材育成に携わるワケ

その中で、人材育成は「脳を変えるトレーニング」ですよ、ということを書きました。
だからと言って、筋トレをして筋肉が大きくなるように、研修をすると「脳がでかくなる」というわけじゃありません(笑)

では、研修で変わるのは「脳のどこ」なんでしょうか?

「使い方・働き方」を変えるトレーニング

前回も書きましたが、人材育成・研修とは「仕事のスキル」のトレーニングです。
そして「仕事のスキル」とは思考や行動の集積です。それを変化・成長させるというのは、思考や行動を司る「脳の働き」を変えることに他なりません。

つまり、「脳細胞そのものを鍛えて変える」というよりは、「脳細胞の働き方・使い方を変える」ということですね。「筋トレで筋肉を鍛えて大きくする」のとは、ちょっと違います。

では、フィットネス(身体)のトレーニングには、そういう「使い方・働き方」を変えるトレーニングがあるんでしょうか?はい、あります。

それが「ファンクショナルトレーニング」というコンセプトです。

古典的トレーニング(いわゆる「筋トレ」)が筋力・筋肉にフォーカスしているのに対し、ファンクショナルトレーニングは「身体の動き方・働き方=機能」を高めることを目的としています。そして「身体全体の発揮する機能=パフォーマンス」を高めるために、骨格・関節・筋肉・腱・筋膜・神経・皮膚など、あらゆる要素がうまく機能するようにトレーニングします。

この「ファンクショナルトレーニング」の考え方が、フィットネストレーニングにおいて「人材育成(脳の働き方をいかに変えるか)」に対応するものだと僕は考えています。

「パフォーマンスピラミッド」という考え方

そんな「ファンクショナルトレーニング」には、人材育成でも役立つ概念がいくつもあります。
今回は、その中から「パフォーマンスピラミッド」という考え方をご紹介します。

上の図で表される3層ピラミッド構造が、「パフォーマンスピラミッド」です。
これは、身体パフォーマンス(さまざまな動作や力の発揮)を支えるスキル構造を示したピラミッドです。

一番上が、最もスペシフィックな「専門スキル」と呼ばれる要素。
スポーツで言えば、特定の競技に必要とされる「競技スキル」です。たとえばサッカーのボールコントロール力や、スキーの滑降技術などを言います。

その下の2層は、専門スキルではない「共通スキル」です。
スポーツなら競技によらず必要となる「身体能力」、スポーツをしない人にとっても必要な「基礎体力」などに当たります。

そのうち、真ん中の層は「定量的に評価できる『量』の共通スキル」。筋力・持久力・スピードなど体力テストで計測可能な力と考えると分かりやすいです。
それに対して、一番下の層は「定量的に測定できない『質』の共通スキル」。動きの安定性や巧緻性、全身の連動性などの「動作の質」と言われる要素です。

この3層構造が下から順に安定して積み上がることで、身体機能がいかんなく発揮される、というのがパフォーマンスピラミッドの考え方です。

仕事における「パフォーマンスピラミッド」とは?

この「パフォーマンスピラミッド」の考え方は、そのまま「仕事のスキル」に適用できます。

まず上層の「専門スキル」は、仕事で言えば特定の職種・業界で必要な「職業スキル」にあたります。たとえば弁護士の法廷弁論スキルや、エンジニアのコーディングスキルなどがあげられるでしょう。

そして下2層は、職種・業界によらず求められる「ビジネス基礎力」にあたります。
中間層の「量の共通スキル」は、書類の作成スピードや語学力など、テストや測定が可能な力。IQや学力といった「認知的能力」と言われる能力です。

そして下層の「質の共通スキル」は、思考の柔軟性やコミュニケーション能力、ストレス耐性など。EQや性格スキルと言った「非認知的能力」と言われる能力に当たるでしょう。

これら3つのスキルが、下から順に安定して機能しうまく連携することで、全体として「仕事のパフォーマンス」が発揮される。
よく考えてみれば、これ自体は「まぁそうだよね」とも言える、ある種「当たり前」の構造ではないかと思います。

ただ、このようにスキルを構造化して考えることで、人材育成の課題や対策を考えるフレームとして役立ちます。

と、ここまで書いたところで、今回は長くなってきたのでおしまい!
では、パフォーマンスピラミッドをいかに活用するか?は「後編」に続きます。

それでは、またぜひお読みください!

※この記事は前後編に分かれています。後編は以下よりお読みください。
リンク:人材育成を「パフォーマンスピラミッド」で考える(後編)

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こんにちは、ウイルネス代表の福田一史です。

実はこのブログでは「初めまして」ですね。
これまでは弊社もう一人の代表・上野の記事のみでしたが、今週から福田も登場します。

元パーソナルトレーナー&パーソナルジム経営

僕がウイルネスに参画し代表になったのは、2015年のこと。その前はパーソナルトレーニングジムを経営しており、更にその前はパーソナルトレーナーをしていました。

ウイルネスは2005年創業以来、企業研修を提供してきた企業ですが、2015年に僕がジョインしてからパーソナルトレーニングジム事業を立ち上げ、昨年2018年に事業譲渡しました。現在、そしてこれからは、人材育成領域に注力していく予定です。

フィットネスと人材育成。

全然関係ない仕事だと言われることも多いですが、僕は全然そう思っていません。

人材育成とフィットネスは、まったく同じ

人材育成もフィットネスも、どちらも「人が変わる」ための方法です。

英語にすれば、筋トレはmuscle development、人材育成がtalent development。
対象とするのが「身体能力」なのか「仕事のスキル」なのかという違いはあれど、それを実践するのは同じ「人間」です。

(余談ですが、筋トレはmuscle trainingじゃないんですね。あと、日本語でも「筋肉トレーニング」と書いてあることがありますが、本当は「筋力トレーニング」です。)

フィットネスのトレーニングは、筋肉や関節に負荷をかけることで、身体がその負荷に「適応(フィット)」し変化します。
人材育成の研修(これも英語ならtrainingですね)でも、様々な課題を与えることで、脳がそれに適応して行動の変化が起きることを期待します。

以前は、脳にはそうした「変化する能力(可塑性)」があまりない、と思われていましたが、今ではむしろ筋肉などと同じように「適応・変化」することが知られています。

「仕事のスキル」とは、思考や行動の集積です。それを変化・成長させるというのは、思考や行動を司る「脳の働き」を変えることに他なりません。

そう考えると、人材育成とフィットネス、まったく同じことだと思いませんか?

フィットネスの切り口で人材育成を考える

フィットネストレーニングには、体系化された科学的方法論が存在します。
その立場から考え直してみると、人材育成・研修のあり方には「ちょっと変」なところが意外とあります。

今後、このブログでも「フィットネス」の切り口から人材育成を考えて、

・研修や人材育成でよくやってるけど、トレーニング理論的には変なこと
・トレーニング理論のコンセプトを、研修に適用するとどうなるか?

と言ったことを書いてみたいと思っています。

何はともあれ、今後ともよろしくお願いいたします。

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