働き方が変わっていく中で、また、政府の政策として定年延長が言われる中で、60代以上の社員を抱える企業が増えてきています。もちろん「人生100年時代」と言われる中で、以前のように60歳で定年、65歳まで再雇用・・・という仕組みも限界のようにも感じます。なぜなら、年金の受給開始が遅くなっていますし、そもそも今の年金制度は、退職して10年ほど生活が出来れば十分だった時代に設計されたものです。今は、例えば65歳まで再雇用で働いて完全退職して、このコロナ禍でも平均寿命が伸びている日本を考えると、やはり70歳くらいまでは働ける設計に変えていくことが必要なように思います。

では、60代の方にどんな活躍をしてもらうと良いのでしょうか?

長い間その企業で仕事をしてきた人をそのまま雇用延長で働いてもらう場合、また50代の人を新たに採用するかどうか、を含めて考えてみたいと思います。

私は、それまで「部長」だった人を60歳での定年後、「その役職をどうすれば良いか?」という課題がますます顕在化してくると思います。今日まで「部長」と呼んでいた人が、明日からはそうではなくなるわけです。これまでのように「役職で組織を作っている」とどうしてもこのような課題が生じてくるはずです。

働き方も変革を求められている中、これからは「役割で組織を作る」ことに企業も舵を切っていくことも必要だと感じます。プロジェクト方式のようなものでしょうか? 「〇〇プロジェクトに参画する人」というように社内公募しても良いと思います。これは中小企業でも可能だと思います。小さな案件でもプロジェクト化していくと、かなりの数が出来ると思います。そうすれば、60代の方でも活躍できるプロジェクトがあるのではないでしょうか? そして60代の人に言えることは「自分の価値観を横に置くこと」「新しい知識(IT含めて)を吸収しようとする謙虚な気持ちを持つこと=若い人に教えてもらう」この2つがとても大事だと考えますし、そこにマインドセットすることが重要だと思います。リバースメンターという方法もあります。若い人は今に適した情報も持っています。新しいIT機器や使い方にも長けています。「若い人からも教えてもらう」という気持ちを持つことは、60代以上の人には大切なマインドです。

それには、企業全体での意識改革が必要です。そのような組織を作り始めるチャンスが今のように、私には思えます。

最近、サントリーの新浪社長が「45歳定年説」を話されていましたが(企業に依存することなく働くことが望ましい。。ということだと思いますが)、そのように制度設計もされていないし、学校教育も「自分で生きていく力をつける」ところまで行っていません。教育方針としてはそう謳っている学校がほとんどですが、実態はどうでしょうか?

設計を変えずに制度だけ変えることは難しいと思います。コロナ禍で様々なことが大きく変わり始めています。企業も働く人も(もちろん学校教育も)大きな意味でブレイクスルーを起こす時だと感じています。