「ジョブ型雇用」が話題だけど若干独り歩き感があるなと感じます。

雇用形態だけ変えても機能しないんですよね。雇用形態は、市場環境や自社ビジネスモデルと兼ね合いで決めるべきもの。だから、そこを変えようと考えるのであれば根本的なビジネスモデルの見直しが必要になりますし、一企業の問題だけではなくて社会的にも制度設計の議論が必要です。

ここで、企業が短期的なコストカットの方便に「使えそうだな」と思ってるとしたら、それは罠です。腹を据えてビジネスモデル・組織モデルから考え直すべきところ。

ここで考えたいのは、そもそもなぜこれまでメンバーシップ型雇用が定着してきたか?

それはあえて単純化して言い切ってしまえば、日本社会の労働流動性の低さと、日本企業の労働集約型のビジネスモデルに最適化した結果です。

低い労働流動性の中で企業が変化に対応するためには、社員を抱えておいて社内で転換することが必要でした。また、労働集約型モデルに適した「均質な労働力」を確保・維持するには一括採用・一括育成が適していた。

だからそこから考え直さないと、単に雇用形態の変化というだけの問題ではないはずなんです。

もう一度、「ジョブ型雇用」の何が罠か?

それは、「ジョブ型」が悪いという話じゃない。
経営層が腹を据えてビジネスモデル転換し、その中で雇用形態も見直す、っていうなら良いんです。むしろ素晴らしいことだと思います。

ダメなのはジョブ型雇用を「コストカットの方便」にしてしまうこと。短期的には「利益」に見えても、長期では組織風土を破壊して「回復不能な損害」を与えかねない、恐ろしい罠だと思います。