「新入社員研修」と聞かれると、どんな想像をされますか? もちろん「受けたことがある!」と言う方もたくさんいらっしゃると思います。多くの場合、学生から社会人になる時のマインドセット、ビジネスマナー、仕事の進め方、電話対応などを4月の入社と同時に実施される場合が多いと思います。そして「新入社員研修は一生で一度しか受けない研修」とも言われています。

その4月の研修に向けて弊社では毎年12月から1月にかけて、概要をクライアントと詰めて準備に入ります。今年の1月には、コロナの影響がこんなに広がるとは予想もしておりませんでしたので、通常通りに準備を進めておりました。そして2月中旬まではどの企業も「オンサイト(いわゆる集合研修)」で、いくつかグループを作り1グループ5〜6名で着席して(いわゆる、島形式と言われる座席配置)、活発にディスカッションをしながら研修を進めていく・・・と言うスタイルを希望されていましたし、弊社もそして講師もそのつもりでした。それが今年の2月下旬から3月に入ると、世の中の様子がガラリと変わってきました。

3月に入ってコロナウィルスの感染が拡大し、学校も休校になると4月の研修に関して色々とご要望が出てきたり、ご相談が多くなってきました。「オンライン研修にできないか」「日程を変更したい」「中止したい」「オンサイトでやるが、一人ずつ座ってディスカッションはなし」等々、様々な対応が求められることになりました。弊社も急遽、オンライン研修をどうしたら良いか?MTGをしたり、オンライン用にテキスト、ワークを変更したり・・・と大忙しの3月でした。オンサイトを前提に作った研修をそのままオンライン用の研修には出来ないのです。

今年の4月は、なんとか今までのカリキュラムで新入社員研修を実施しました。ただ、リモートワークが日常化してきた時に、来年の新入社員研修はどうなるのか?あるいはどのようなカリキュラムにしたら良いのか?といったことをこの機会に少し考えてみたいと思います。

これまでの「新入社員研修」のカリキュラムは、学生と社会人の違い、ビジネスマナー、仕事の進め方、電話応対、ビジネスコミュニケーションなどを講義、実習(ディスカッション)、振り返りなどをチーム単位で行い、全体にシェアをしていく・・・と言う進め方でした。ただ、コロナの影響で急激に「テレワーク」が浸透し、多分、このままテレワークでの仕事が定着していくことが、考えられます。その場合、今までのようなカリキュラムや研修の進め方が果たして有効なのか?私は、変わって当然だと思っています。
つまり、今までの研修をそのままオンライン化する、と言うことは考えられないな〜と思っています。

では来年、どのような「新入社員研修」になるのでしょうか?
もちろん、仕事によっては「現場」に出てこないと成り立たない仕事もありますが、ここでは毎日ではなくても「テレワーク」が可能な仕事、ととして考えてみたいと思います。

例えば、一斉採用でなくなる可能性もあります。これからは「個人」がどのように仕事をしていくか・・と言う点が重要になるように感じています。
では、新入社員研修でその点をどのように研修内容を組み立てるとと良いのでしょうか?
私は大きく分けると「マインドセット」と「コミュニケーション」が主な柱になると良いのかな・・・と思っています。

テレワーク中心の仕事になると、今現在、カリキュラムに入っている「名刺交換」(これは、ソーシャルディスタンスの観点からもなくなりそうですよね)「電話応対」「訪問の仕方」「来客応対」などは、必要なくなるように思います。

それよりもこれから更にスキルをあげていかなくてはならないのがコミュニケーション。特に「伝える」そして「自分の気持ちの表し方」と言うことのように感じています。直接、対面をしない中で「どのように伝えるのか?」「どんな言葉を使うとわかりやすいか?」「特にチャットなどのテキストベースで伝えるときに、どんな書き方をすると伝わるのか?」といったことが求められてくると思います。

ですので、来年の新入社員研修は「より実務に適したカリキュラムを提供する必要」があるのと同時に「コミュニケーションの質と頻度」についても伝えていく必要がある、と考えています。
そして、もっと大切なのはテレワークでの仕事では「マネジメントする側」のマネジメント力をかなり上げていかないとならないと感じます。そこを疎かにしたり、安易な方法でやろうとすると「四六時中、オンラインを繋ぎっぱなしして監視する状態」を作り出し、逆に生産性も信頼性も失う組織になっていくと感じています。