今年もすでに6月。4月に入社した今年の新入社員は、リモートでの研修が終わり6月1日に配属先に配属された・・・あるいは、すでに配属されていてリモートでの仕事が進行している・・という新社会人が多いようですね。

例年ですと、通勤電車の中でいかにも「新入社員です」といったフレッシュな感じの男性や女性に出会うのですが、今年は全くそのようなことがありませんでした。
業種・業態によっては「リモートワークが出来ない」という企業もあると思います。そのようなところでも例年のような研修は実施が難しかったようですね。

前号で、社長の福田が書いていましたが、弊社が今年実施させていただいた「オンラインでの研修」では、「コミットメント」の違いが大きく出ていたように感じます。これは研修以前のことだと思うのですが、各企業でどれだけ「新入社員と関わりを持っているか」が、研修中にもその様子が垣間見られました。特に配属後には大きな違いとなるように感じます。では、新入社員研修はどのようになっていくのでしょうか?

「新入社員研修の未来」を考えるためにも、まずは、これまで多くの企業で実施されていた「新入社員研修」について振り返ってみたいと思います。

ここ10〜20年ほどを振り返ると、年代が遡るほど「ビジネスマナー研修」=「新入社員研修」という位置付けだったように思います。そして、この研修だけは「永久不滅」のように思われていた時もありました。

ところが、リーマンショックの時は一斉に研修がなくなりました。特にリーマンショック翌年の新入社員研修は「内製化」が増えました。それまで春先には非常に忙しい思いをしていたいわゆる「研修講師」は、ほとんどがその仕事を失った感じがします。

ところがその後2~3年経つと、またアウトソーシングされるようになりました。多分、企業にも余裕が出てきたのと「内製化」はそう簡単ではない・・・ということだったのだと思います。

当時はカリキュラムの変更はあまりありませんでした。ビジネスマナーも通常通りに行われましたが、強いて言えば「チームで仕事をする」という点に焦点を当てた研修カリキュラムが増えた、あるいは、先方の企業から入れるように要請された、ということが特徴としてありました。もちろん、ビジネスマナーもほんの少しずつの変更はありましたが・・・

ところが今回のコロナ時代では、大きく変わるように思っています。そもそも「名刺交換」必要かな? 訪問のマナーとか来客応対とか・・・席次、電話応対も必要ないかもね。あと、お辞儀の角度とか・・・名刺交換は、そもそも対面で行うことが極端に減ると思います。

弊社のあるクライアント担当者さんは、新入社員各人の名刺を作ったそうですが「結局、入社以来リモートでの研修、そしてその後もリモートワークが決定したので、せっかく作った名刺を渡すことが出来ない」とおっしゃっていました。

ただ、今までの研修を見ているとこの「名刺交換」は新入社員の皆さんは、とても楽しそうに、生き生きと行うワークの一つでした。やはり「社会人になった!」という実感が持てるのが、この名刺交換なのだと思います。そして、自分が入社した企業の社名を名乗れる「誇り」のようなものを感じていたのかもしれませんね。
これからは、オンライン上での交換になると思いますし、そうなるとそもそも、名刺は不要になってしまうかもしれません。名刺の歴史的な見地からすると残念なように思いますが、これも「時代の流れ」。致し方ないのかもしれません・・・

そして、訪問のマナー、来客応対も無くなるのでしょうね・・・かつては、階段やエレベーターを使っての案内の仕方やドアの開閉の扱いなど、カリキュラムに入っていましたが、ここ数年はだんだんと「参考程度に」となっていました。今後は必要なくなるものの一つのように思います。

席次もソーシャルディスタンスを基本的な考えに則ると、必要ないかもしれません。もしかすると「空気の流れの良い入り口近くが上座」とかになるかもしれませんね~!笑

また電話応対も無くなりそうですね。「電話は新入社員が必ず取るので、しっかりとお願いします」と昨年まではご依頼いただくことがとても多かったのですが、これも一瞬にして無くなりそうです。電話応対は、最近の新入社員は最も不得手なワークでした。それが無くなるのは、彼らにとってはラッキーかもしれません。

ちなみに私が社会人になった40年ほど前は、人事部にいた当時は「お局」なんて呼ばれていた先輩社員が研修を行っていました(こんな呼び方も今はしませんね!)。「お茶の出し方」を習ったのを覚えております。まあ、特にカリキュラムなどはなく、結構「属人的」だったように思います。

一つ、今でも覚えているのは、「お盆に乗せずにお茶托を持ってお客様にお出しするときには必ず『お手盆で失礼いたします』と可愛らしく言いましょう!」と言われたことです。
現代の感覚からすると、大笑いのネタだと思いますが!でもこれ、ある大企業での本当の話です。これを考えてみても、研修や人材育成は大きく変わっていくことが容易に想像できますよね。

では、どのような研修が求められていくのでしょうか?

私は何よりも「コミュニケーション」と「社会人としてのマインドセット」だと思っています。それは、また次回以降に!皆さんもぜひ、ご自身が受けられた「新入社員研修」を振り返ってみてください!