こんにちは。ウイルネス代表の福田です。
前回のブログは、「人材育成とフィットネスは同じ」というお話でした。
リンク:元パーソナルトレーナーの福田が、人材育成に携わるワケ
その中で、人材育成は「脳を変えるトレーニング」ですよ、ということを書きました。
だからと言って、筋トレをして筋肉が大きくなるように、研修をすると「脳がでかくなる」というわけじゃありません(笑)
では、研修で変わるのは「脳のどこ」なんでしょうか?
「使い方・働き方」を変えるトレーニング
前回も書きましたが、人材育成・研修とは「仕事のスキル」のトレーニングです。
そして「仕事のスキル」とは思考や行動の集積です。それを変化・成長させるというのは、思考や行動を司る「脳の働き」を変えることに他なりません。
つまり、「脳細胞そのものを鍛えて変える」というよりは、「脳細胞の働き方・使い方を変える」ということですね。「筋トレで筋肉を鍛えて大きくする」のとは、ちょっと違います。
では、フィットネス(身体)のトレーニングには、そういう「使い方・働き方」を変えるトレーニングがあるんでしょうか?はい、あります。
それが「ファンクショナルトレーニング」というコンセプトです。
古典的トレーニング(いわゆる「筋トレ」)が筋力・筋肉にフォーカスしているのに対し、ファンクショナルトレーニングは「身体の動き方・働き方=機能」を高めることを目的としています。そして「身体全体の発揮する機能=パフォーマンス」を高めるために、骨格・関節・筋肉・腱・筋膜・神経・皮膚など、あらゆる要素がうまく機能するようにトレーニングします。
この「ファンクショナルトレーニング」の考え方が、フィットネストレーニングにおいて「人材育成(脳の働き方をいかに変えるか)」に対応するものだと僕は考えています。
「パフォーマンスピラミッド」という考え方
そんな「ファンクショナルトレーニング」には、人材育成でも役立つ概念がいくつもあります。
今回は、その中から「パフォーマンスピラミッド」という考え方をご紹介します。
上の図で表される3層ピラミッド構造が、「パフォーマンスピラミッド」です。
これは、身体パフォーマンス(さまざまな動作や力の発揮)を支えるスキル構造を示したピラミッドです。
一番上が、最もスペシフィックな「専門スキル」と呼ばれる要素。
スポーツで言えば、特定の競技に必要とされる「競技スキル」です。たとえばサッカーのボールコントロール力や、スキーの滑降技術などを言います。
その下の2層は、専門スキルではない「共通スキル」です。
スポーツなら競技によらず必要となる「身体能力」、スポーツをしない人にとっても必要な「基礎体力」などに当たります。
そのうち、真ん中の層は「定量的に評価できる『量』の共通スキル」。筋力・持久力・スピードなど体力テストで計測可能な力と考えると分かりやすいです。
それに対して、一番下の層は「定量的に測定できない『質』の共通スキル」。動きの安定性や巧緻性、全身の連動性などの「動作の質」と言われる要素です。
この3層構造が下から順に安定して積み上がることで、身体機能がいかんなく発揮される、というのがパフォーマンスピラミッドの考え方です。
仕事における「パフォーマンスピラミッド」とは?
この「パフォーマンスピラミッド」の考え方は、そのまま「仕事のスキル」に適用できます。
まず上層の「専門スキル」は、仕事で言えば特定の職種・業界で必要な「職業スキル」にあたります。たとえば弁護士の法廷弁論スキルや、エンジニアのコーディングスキルなどがあげられるでしょう。
そして下2層は、職種・業界によらず求められる「ビジネス基礎力」にあたります。
中間層の「量の共通スキル」は、書類の作成スピードや語学力など、テストや測定が可能な力。IQや学力といった「認知的能力」と言われる能力です。
そして下層の「質の共通スキル」は、思考の柔軟性やコミュニケーション能力、ストレス耐性など。EQや性格スキルと言った「非認知的能力」と言われる能力に当たるでしょう。
これら3つのスキルが、下から順に安定して機能しうまく連携することで、全体として「仕事のパフォーマンス」が発揮される。
よく考えてみれば、これ自体は「まぁそうだよね」とも言える、ある種「当たり前」の構造ではないかと思います。
ただ、このようにスキルを構造化して考えることで、人材育成の課題や対策を考えるフレームとして役立ちます。
と、ここまで書いたところで、今回は長くなってきたのでおしまい!
では、パフォーマンスピラミッドをいかに活用するか?は「後編」に続きます。
それでは、またぜひお読みください!
※この記事は前後編に分かれています。後編は以下よりお読みください。
リンク:人材育成を「パフォーマンスピラミッド」で考える(後編)