研修をすることの効果やその測り方・・・ということについて良くご質問を受けます。

特に企業の人事担当の方などは、社内稟議を通すためにも「どんな効果があるのか?それは定量的に測定できるか?」と言った点をクリアにしたいとお考えかと思います。

ここでは、一般的なビジネススキルについて「ワークショップ型」の研修をやることの意味や効果測定について考えてみたいと思います。

ワークショップ型研修の特徴とは?

そもそもワークショップ型研修とは、どんな特徴があるでしょうか?

これは、何と言っても「目の前に他者の存在がある」と言うことですね。
他の受講生や講師といった「自分以外の人」が、実際に同じ空間に存在するわけです。
この単純な特徴が、書籍やeラーニングなどとの決定的な違いを生みます。

つまり、この「目の前の他者の存在」によって、


・リアルタイムのインタラクションが可能
・face-to-faceのコミュニケーションも活発に行える

という、ワークショップ型研修の大きな特徴が生まれるのです。

さらに、こうした特徴によって、


・他者の視点から、大いなる気づきを得られる
・自分自身に対するフィードバックが行える
・コミットメントが可能であり、逆に必要である

と言った、ワークショップ型研修の大きな利点が得られます。

ワークショップ型研修の効果とは?

上記のような特徴から、ワークショップ型研修には大きく2つの効果があります。

(1)マインドセットが変化しやすい
研修で他者の考え方や価値観を見聞きすることによって、多くの気付きが生まれます。
知識だけでなく目の前の他者から多くの気づきを得ることによって、自分自身の考え方・価値観の幅が広がることにつながります。
つまり、「視点の広がり、多さ」を容易に受け取ることができる環境であると言えます。

(2)行動変容が起きやすい
行動が変わるきっかけが得やすく、受講者自身の「行動」が変わっていくことにつながることが多いように感じます。
つまり「あの人に出来るなら自分にも」とか、「人の振り見て我が振り直せ」、あるいは「人と一緒なら出来た!」・・・と言ったことが起こりやすい環境にあると言えます。
行動変容においては、こうした他者の介在が大きな力となることが知られています。

まとめると、ワークショップ型研修の効果は「内面&行動の両面の変化」が得られることですね。

こうした「内面・行動の変化」というのは、一見すると外見上現れにくい/現れるのに時間がかかる・・・といった部分だと思います。また、こうした点を変化させることは、単に「知識を得る」というだけでは難しい側面があります。

そのため、こうした「内面・行動の変化」にフォーカス出来ることが、ワークショップ型研修独特の効果と言えると思います。

ワークショップ型研修の効果測定

では、こうした「ワークショップ型研修の効果」は、どう測定したら良いでしょうか?

たとえば「知識を得たかどうか」と言った効果測定は、テストなどで定量的に測定することが簡単に出来ます。それに対して、「『内面や行動の変化』はどう測定していいか分からない」といったお声をよくお聞きします。

ただ、これは私の考えですが、むしろ「効果測定が難しく」なってしまう原因は、そもそも「どんな行動を・どんなマインドセットを・どう変えたいか・それはなんのためか」という点が、実施企業においてクリアになっていないことが多いように思います。

逆にそれらの点がクリアになっている企業では、効果測定の設計&実施は断然しやすくなります。
あるいは、もっと手前で「効果の実感」があることが多いように感じます。

つまり、、、


・こういう行動を・こういうマインドセットを
・こう変えたい
・それはこのため(結果としてこういう変化が現れてほしい)

という具体的な「意図」を持っているということですね。

そういう状態で研修を行えば、「その行動・そのマインドセット・それらの変化・その結果」が、
・どういう形で実際の業務の中で現れるか?
・それはどうすれば確かめられるか(測定できるか)?
といったことは、自然と決まってきます。そして「効果・変化の実感」も得られるのです。

残念ながら、そうした「クリアな意図」を持たずに研修を実施しても、あまり効果は期待できないように感じています。

効果的な研修・その効果測定のためには、まず「どんな行動を・どんなマインドセットを・どう変えたいか・それはなんのためか?」という点をクリアにすることが第一歩だと思います。