多くの企業の経営者が「従業員を大切にしています」「人を大切にしないと事業が成り立ちませんよね」とおっしゃいます。もちろん、人を大切にすることはとても大切なことですし、みなさん、そうされていると思います。

ただ、見かけはそうみえても、実は「大切にしている」ということからかけ離れている場合も見受けられます。でも、ご本人は「とても大切にしている」と思い込んでいるのです。見えていることは同じなのですが、水面下ではそうではないことが行われているように感じることがあります。

例えば・・・

  • リーダーやマネージャーが、自分の都合の良いように部下に動いて欲しいため、結果としてコントロールしている
  • 部下の気持ちを聞こう、という目的で面談をしても、結局は上司がしゃべって終わり。それでも「部下の話を聞いた」と思い込んでしまう

などなど、あります。

これって、大切にしているようでちょっと違うように私は感じています。

過去に顧問をしていた企業で、こんなことがありました。

30代後半の女性が入社しました。そこの企業は女性の採用や産休・育休なども積極的に実施している企業で、時短でママさんを採用したのです。

ところが「時短で4時までだからね・・・」「なかなか仕事が進まないね」と上司は何気なく、もちろん悪気もなく言葉にしているのです。ところが、言われた本人は非常に嫌な思いをし「やっぱりダメなんだ」と思い、退職してしまいました。

これは一例ですが、これもよくよく考えると「人を大切にしていないな」と思うのです。

企業として、条件付きの人を採用するのであれば、経営者はそれに対して相当の自覚と覚悟が必要です。結果として、思っていたことと違うことが起きても、採用をした以上、それは企業の責任です。中途、新卒、採用に関しては全て同じことが言えます。

昔の管理職(私が経験したこと)は、朝、出社するとデスクでお茶を飲みながら新聞を念入りに読んでいました。ただ、その読んでいる状態で課員の様子をずっと見ていたのです。

当時は、朝、出社するとお茶を飲みながら、みんなで何となく雑談をしたものです。パソコンもありませんでしたから、あれやこれやまさに「雑談」。そんなことをしていると、電話が鳴って仕事が始まる・・・みたいな感じでした。のんびりしていましたよね!

有能な管理職は、その様子を新聞を読みながら見ているのです・・・笑

「今日は、どんなことを話しているのかな?」「あ〜、あの新入社員は、◯◯でつまづいているな」などなど。本当に良く見ているのです。

「人を大切にする」ということは、このように社員の様子をを良く見て、適切なアドバイスや場合よっては指導をすることだと思います。自分の思い通りに「部下を動かそう」としたり「いう通りにやってくれればいいのだ」という態度で接しないことです。

「人を大切にすること」=「大切に育てること」だと私は思います。